《明石市の子育て施策》川越市で実現する方法を考えて出た答え。

先進的な子育て施策で話題沸騰中の明石市

全国的にも先進的な子育て施策に取り組んでいる明石市。

話題となっている数多くの子育て施策ですが、その一部を以下に抜粋します。

  • 高校三年生までこども医療費の無料化
  • 第2子以降の保育料の完全無料化
  • 中学校の給食費無償化
  • 0歳児の見守り訪問「おむつ定期便」
  • 公共施設の入場料無料化

一見するとバラマキのようにも見えるこれらの施策ですが、実現するにはシンプルだけど重要な仕掛けがあり、その成果に対する期待値は日本中で日を追うごとに高まっています。

その仕掛けとは「所得制限を設けない」ことです。

無償化を行う際は一定所得以下(住民税非課税)の世帯を対象とするのが一般的ですが、明石市では所得制限を設けずに一律無償化を行っています。

この仕掛けを施すことで所得の高い人も市の恩恵を受けることができるため、自然と所得の高い(課税対象)子育て世帯が集まる仕組みとなっています。

上のように言ってしまえば当たり前だし簡単なことですが、いざ実践するとなると2つのハードルがあると想像します。

それは、所得制限を設けないことで「金持ちを優遇すること」の是非です。

これまでは行政支援と言えば「生活に困っている人を助けるためにある」といった認識が一般的となっています。
そこに対して、どれだけお金持ちでも行政支援を提供しますとなれば、「そのお金をより困っている人に手厚く支給すべし」と言った反論が噴出することは想像に難くありません。

それらの反発を突き返して実行に移し、全国的なモデルケースへと昇華させたのはまさに首長の政治的手腕がモノを言ったのではないでしょうか。

もう一点のハードルは、この取り組みが全国的な話題まで展開されなければ宣伝効果として意味をなさない点です。

今回の政策は話題が話題を呼び全国から子育て世帯を呼び寄せることに成功しました。

しかし、仮に明石市の子育て政策が周辺自治体まで周知されることが無く、子育て世帯の新住民の誘致に繋がらなければ、すでに市内に住んでいるお金持ちに税金を投入して終わりとなる恐れもありました。

この辺りは市長の手腕もあるかもしれませんが、広報部局の宣伝力があって初めてなせる業ではないでしょうか。

ひとつの自治体が一体となりその名を日本中に知らしめた、素晴らしいと思うと同時に悔しい気持ちもあるというのが素直な気持ちです。。。

川越市でもできるの?

では、川越市でも明石市モデルは実施できるのでしょうか?

まず最初に考えなくてはいけないのは費用対効果です。
どれだけ素晴らしい施策でも湯水のように税金を使うわけにはいきません。

となれば、明石市モデルを導入することで明石市のように新住民の誘致が可能かどうかを考えなくてはなりません。

結論から言えば、仮に川越市が明石市モデルを実施したとしてもその施策は明石市ほど周知されることはないでしょう。
これは広報部局の問題ではなく、「二番煎じ政策」である以上、明石市のようなファーストインパクトを残すことはできません。

そうなれば明石市モデルの上をいく、または川越市独自のニーズにこたえるようなインパクトのある子育て政策を打ち出さなくてはなりません。※それについては種々議論を行う必要がありますが、ボクは教育者の充実が必須であると考えます。

同時に、それらの子育て政策を川越市で実施した場合の予算見込みを算出し、何年で施策の効果(新住民の誘致)が現れ始めるのかを予測する必要があります。

以下は明石市の子育て施策の損益分岐点図表のイメージ図です。

オレンジの線が子育て施策に費用な予算。青い線が施策の効果で増加する新住民の数です。
新住民が増加すれば税収は増加するので、ここではイコールで記載しています。

施策の打ちはじめは初年度より一定額の予算が必要となるために高い位置よりオレンジの線はスタートします。
そして当然ながら新住民数はゼロからスタートなので一番左下よりスタート。

しかし、施策の効果が認知され周知が広がれば新住民は増え始め、そこに掛かる予算を上回るタイミングが訪れます。(?年目と表記)

さらに施策を打ち続ければいずれは「上回った税収」が「投資してきた予算」を上回る時期(??年目と表記)が訪れ、その後は税収は青天井で増加の一途を、、、

となればいいのですが、居住エリアは限られていますし、他の自治体が追随することを考えると明石市一強という時代がいつまでも続くことはありませんので、それほど単純な話にはなりませんが、明石市では「?年後」と「??年後」をシミュレーションして施策の実施をしていることは間違いないでしょう。

そうなれば今後考えなくてはいけないことはどの自治体が明石市の二番手を追うアーリーアダプターとなるのかです。

明石市が道筋を示してくれたことで他の自治体は大きなリスクを背負うことなく子育て施策に舵を切ることができるようになりました。二番煎じというハンデはあってもその道筋は大きなチャンスです。

上の損益分岐点図表から川越市でも同等のシミュレーションを行うことができるし、そこから予算や施策内容の過不足の調整も可能です。

川越市が実施をするならば何年で税収が予算を上回り、何年目に税収がこれまで投じてきた予算を上回るのか。明石市モデルを読み解きつつシミュレーションを行うことで、明石市にも劣らない子育て施策を打ち出すことは決して非現実的な話ではありません。

他自治体の真似をするというのは政治に携わるものとして悔しい?恥ずかしい?そんな感情もありますが、参考となるものはどんどん吸収して、より精度の高い施策構築に向けて議論を重ねる材料にしてしまえばいいんです。

まずは明石市モデルを川越市が実施するのならばどのようなシミュレーション結果となるのか、担当課職員交えて議論をしていきます。

最後に、施策にはお金がかかります。そしてかけた結果、次代に負担を残すことにもなってでも「今が良ければいい」という考えは政治の劣化を生み出します。

いかに次代に負担を残さないように、むしろ財産として託せる施策を作り上げていくかがこれからの政治の在り方です。


明ヶ戸亮太(あけど亮太):経営者×川越市議会議員
現在41歳:川越市議会議員(現在三期目)・広告会社代表取締役・ICTコンサルタント・ファイナンシャルプランナー / JAPAN MENSA会員 / フィジーカー(APF大会、アスリートモデル部門優勝)
マルチタスク・ラボ
Twitterアカウント
著書:マルチタスク思考

※川越市のプロフィール(川越市HPより抜粋)
川越市は、埼玉県の中央部よりやや南部、武蔵野台地の東北端に位置し、109.13平方キロメートルの面積と35万人を超える人口を有する都市です。
遠く古代より交通の要衝、入間地域の政治の中心として発展してきた川越は、平安時代には桓武平氏の流れをくむ武蔵武士の河越氏が館を構え勢力を伸ばしました。室町時代には、河越城を築城した太田道真・道灌父子の活躍により、扇谷上杉氏(おうぎがやつうえすぎし)が関東での政治・経済・文化の一端を担うとともに、河越の繁栄を築きました。江戸時代には江戸の北の守りとともに舟運を利用した物資の集積地として重要視されました。
大正11年には埼玉県内で初めて市制を施行し、昭和30年には隣接する9村を合併し現在の市域となり、平成15年には埼玉県内で初めて中核市に移行しました。
川越市は、都心から30キロメートルの首都圏に位置するベッドタウンでありながら、商品作物などを生産する近郊農業、交通の利便性を生かした流通業、伝統に培われた商工業、豊かな歴史と文化を資源とする観光など、充実した都市機能を有しています。現在も、埼玉県南西部地域の中心都市として発展を続けています。
市内エリア:本庁管内、芳野地区、古谷地区、南古谷地区、高階地区、福原地区、山田地区、名細地区、霞ケ関地区、霞ケ関北地区、大東地区、川鶴地区

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