潜在的に自殺に近い文化を抱える日本人

自殺者が減少傾向にあるも令和元年度二万人越え

竹内結子さんが自宅マンションで亡くなっているのが発見されました。
現場の状況から自殺と報道されています。

続く有名人の自殺。何が起きているのでしょうか。

日本の自殺者はここ10年では減少傾向にあります。
ピークは平成15年の34,427人、その後ゆるやかに減少し令和元年には20,169人。

ではこの数字は本当に「少なくなった」と言ってよいのでしょうか。
また同時になぜ日本人は毎年二万人以上の人が自ら命を絶ってしまうのでしょうか。

人生を悩んでいる人は自殺に対して「その選択肢しかない」と言う人もいるでしょう。

しかし、自殺という不幸を減らしていくためには感情論だけではなく、その要因をひとつづつ検証していかなくてはいけません。
そこで、数値化されたデータをもとにあらゆる角度から自殺について考えていきます。

無宗教である日本は自殺が多い?

David MarkによるPixabayからの画像 

日本は無宗教の国です。
個人で特定の宗教を信仰している人はいますが、国民の約8割が宗教(キリスト教)を信仰しているアメリカと比べると格段に宗教といった文化が根付いていないのは皆さんご存知の通り。

そして多くの宗教では「我々の命は神のもと」という教えを説いているため、徹底して自殺を禁止しています。
(逆説的に焼身自殺などが命を懸けた抗議として用いられるケースがあるが、これは日本の自殺とは根本的に意味合いが異なります)

そこで宗教を重んじている他国と日本の自殺率を比べてみましょう。
(A global perspective in the epidemiology of suicide:suicidology 2002レポートを図化)

上記の通り無宗教の国は突出して自殺率が高いことが数字として見えてきます。

仏教が自殺率が高いグラフとなっていますが、仏教はイスラム教、ヒンドゥー教、キリスト教と異なり、生命活動が停止しても生まれ変わりや極楽へ行ける(輪廻転生や極楽浄土)といった思想が関係していると考えられます。

宗教圏の国と比べて、日本では「命は自分のもの」といった意識が古来より受け継がれています。
その為、「命を賭して責任を果たす」=「切腹」という文化が過去には存在しており、その名残がDNAとして残っているのではないかと考えます。

では日本の自殺原因を見てみましょう。

日本の自殺原因は「健康問題」が最も多い

自殺には様々な要因があります。
アメリカでは経済悪化による自殺が最も多く、薬物の過剰摂取による若者の自殺が増加傾向にありますが、日本では健康問題が自殺原因のおよそ半数を占めています。

経済は政治が大きく関与する分野ですが、健康は政治が関与しづらい分野ともいえるでしょう。

先述した通り、無宗教の日本では過去に「自殺=自己の責任の解消法」といった文化を持っており、宗教圏のような「しかし私の命は神のものだから」といったストッパーが効かないということです。

その為、潜在的に自殺への距離が近い文化ともいえるのではないでしょうか。

最後に職業別自殺者数の年次推移を見てみましょう。

無職者の自殺率は約2/3まで減少、しかし被雇用者・勤め人、要するに労働者の自殺率は3/4と減少率から見ると増加していることがわかります。

先ほど健康面の自殺は政治が関与しづらいと書きましたが、健康を害する要因は労働環境にあることが推測できます。その視点を持って検証すると、経済への手厚いフォローが結果として自殺防止に繋がると考えます。

日本人の ”責任感” は世界的に見ても特異だと言われています。
そしてその責任感の結果、現状の労働環境に押しつぶされ健康を害してしまうことが自殺の大きな原因と考えられます。

芸能人という影響力のある人々の自殺が相次ぐ中、ボクらは改めて労働と責任、そして命について考える必要があるのではないでしょうか。

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