北辰テストを受けると私立高校受験が有利になる理由
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高校受験を控える中学生にとって、模擬試験(模試)は志望校合格のための重要な指標となります。埼玉県では「北辰テスト」がその代表的な模試ですが、受験生の多くが受験し、私立高校の合否判定の基準としても活用されています。しかし、このような民間で行われる模試が入試の参考とされる現状に疑問を持ったことはありませんか?
今回の記事では、北辰テストのような民間模試の実態と、民間模試が高校受験に与える影響を考えることによる保護者の経済的負担について考えてみました。
(冒頭に雑感)そもそも民間模試を学校で告知してる時点で他の民間教育機関との公平性を著しく害しており、その学校との強固なパイプが維持される理由にも疑問あり。
北辰テストの影響と問題点
1. 北辰テストが受験に与える影響
北辰テストは埼玉県の中学生向けの模試として長年にわたり実施され、多くの進学塾や学校が進路指導の参考にしています。※私も中学生の頃に受けました
さらに、埼玉県の私立高校の多くが北辰テストの偏差値を合格基準の一つとして採用しており、受験生は事実上「北辰テストを受験しなければならない」状況になっています。
2. 経済的負担が大きい
北辰テストの受験料は1回あたり4,000円~5,000円。年間に複数回受験することが推奨されるため、多い時には3万円~4万円以上の費用がかかる家庭も少なくありません。模試を多く受けた方が受験対策に有利という状況では、経済的に厳しい家庭にとっては不公平な受験環境となってしまいます。
3. 受験機会の不平等
模試を受験するかどうかは各家庭の判断に委ねられています。しかし、学校や塾が北辰テストの結果を基に進路指導を行うため、模試を受けない生徒は適切な進路選択の機会を失う恐れもあります。さらに、私立高校の合否判定において北辰テストの偏差値が重視されるため、模試を受験しないと私立高校の受験が不利になるという問題もあります。
行政主導で模試を実施すべきでは?
ただでさえ貧困の格差、いわゆる「低学歴高所得の家庭の子どもは将来的に低学歴高所得になりやすい」(逆説的に「高学歴高所得の家庭の子どもは将来的に高学歴高所得になりやすい」)問題は全国的な問題に対して、この民間模試はその一因になっているとも言えます。
このような状況を改善するために、行政が模試を統一的に実施した場合、どのようなメリットが生まれるか考えてみましょう。
1. 受験料の負担軽減
現在、民間の模試は各家庭の自己負担で行われています。しかし、自治体が模試を主催し、教育予算の一部で運営すれば、統一化によるコスト削減と同時に受験料を無料または低価格化することが可能になります。これにより経済的な理由で模試を受験できない家庭の負担が大幅に軽減されます。
2. 公平な評価基準の確立
現在の北辰テストは民間企業が独自に作成した問題を基に偏差値を算出していますが、試験の難易度や採点基準が完全に公開されているわけではありません。一方、行政が模試を実施することで公正な試験問題を作成することもできますし、透明性の高い評価基準を設定することも可能となります。
3. 学校と連携した模試の実施
全国学力テストのように学校で統一的に模試を実施すれば、全員が同じ環境で受験することができ、進路指導の基準としても適切に活用できます。これにより、塾に通っているかどうかにかかわらず、すべての生徒が公平に受験準備を行うことが可能になります。
4. 私立高校の入試基準の見直し
現在、私立高校の多くが北辰テストの結果を基準にしていますが、行政が実施する模試を標準化すれば、私立高校も公正な評価基準のもとで合否判定を行うことが可能になります。
公正な受験制度のために
現在の北辰テストのような民間模試が高校入試の判断材料として利用されている現状には大きな問題が潜んでいます。経済的負担や受験機会の不平等をなくし、公平な受験環境を実現するためには行政が主体となり統一模試を実施することが求められます。(あくまで主体であり、民間と組むことは効率的)
今後、全国学力テストのような形で自治体が模試を実施し、全員が公平に受験準備を進められる環境を整えることが、高校受験の新しいスタンダードとなるべきではないでしょうか。
この北辰テストといった制度、昔から当たり前の存続されているために疑問を抱きにくいテーマですが、より良い制度改正を目指す時期に差し掛かっているのではないでしょうか。