政治家のスマート化で変化するお金(報酬)の話
コロナ禍が変えた議員の在り方
新型コロナウイルスによって日本はおろか、世界中のライフスタイルが激変しました。
飲食はテイクアウトに配達、会議や研修はZOOMやSkypeなどのオンラインと、人と人との交流の機会は格段に減少しました。
そんな中、ボクら議員はこれまで「人と会う」ことが仕事のひとつであり、毎日何人もの人と会っては意見交換をして様々な情報を集めてきました。
もちろんコロナ前にも電話やメール、それこそZOOMだってありました。しかし、「会って話す」ことが持つ価値を実態以上に大きくとらえていたためか、電話やメールで済むこともあえて時間やお金をかけて会いに行って意見交換をしていました。
そこにきてコロナが蔓延したことでボクら議員も人との接触を極力減らすことが求められ、意見交換や要望相談、研修などもオンラインで対応してみるとこれが意外にも想像していたほど弊害がないことがわかってきました。
もちろん会って話さなくては見えないことや伝わらないこともあります。オンラインですべてが充足できるわけではないのでフルリモートとはいきませんが、これからの議員像にも変化が生じることは間違いないでしょう。
議員活動のスマート化
そしてボクがコロナ禍で体験したのは議員活動においてこれまでほどお金を使わなくなったことです。
今までは研修のための出張や地域の交流会、他の自治体の取り組み調査など議員活動の幅を広げれば広げるだけ出費は増え続けていました。
しかし、今では研修もオンラインとなり自宅で参加、地域の交流会は中止となり、やり取りはメールや書面が主なものとなりました。他にも市民相談はSNSで行われるなど、あらゆる面で議員のスマート化が実装されているのが現状です。
その結果、何が起きたかといえば議員活動に必要な「お金」と「時間」が節約されたということです。これはある程度IcTに慣れ親しんだ議員ならだれもが思うのではないでしょうか。
ボクはこれまで議員報酬、一般的には高いと言われるその報酬額も、議員活動でかかる支出を考えると決して高額であるとは考えていませんでした。しかし、これだけオンラインが主体となり「お金」と「時間」が節約された今、改めて見直す時期に来たのではないかと考えるようになりました。
では議員活動がスマート化されたから報酬を下げるべき!という議論を始める素地が整っているのかと言えばまだ時期尚早でしょう。
※スマート化とは主に情報処理能力、情報管理能力を搭載して高度な運用を可能にすることを指します。
議員のお金の使い方を考える必要性
議員の皆が皆オンライン対応できるわけではありません。
パソコンやスマホを苦手とする議員も当然いますし、そもそもSNSをやっていない議員だって数多くいます。同時にそれは市民の方にも同じことが当てはまり、オンラインで100%の双方向コミュニケーションはまだまだ先の話です。
そしてもう一点、議員の報酬は条例で定められているために増やすにしても減らすにしても過半数の賛成が無くては実現しません。その為、オンラインで十分な交流が図れる環境が整うまでは議員活動のスマート化=コストカットには繋がらないのが現状でしょう。
平等性が担保されないと言う理由で制度改正が進まないのは行政のあるあるですが、排除されてしまう層を考えれば強硬はできません。
では、「仕方ないよね!満額受け取ろう!」が正解かといえばどうでしょうか。その答えも短絡的なので一年前の事例から最適解を考えてみました。
約一年前、政府は国民一人当たり10万円を支給しました。当時は景気に左右されない議員や公務員が10万円を受け取るべきか否かという議論がありましたが、最終的には「しっかり受け取り地元の消費に回すべきだ」という答えに落ち着き、大半の議員や公務員は一律10万円を受け取りました。
国のお金?自治体のお金?
国民一人当たり10万円支給策は国の政策です。その為、地方議員が受け取らなければそのお金は国庫に戻されるだけで国民の手元に行き渡ることがありません。だからこそ地方議員が受け取り地元に還元するというロジックは納得いくものでした。
しかし、現状のようなコロナ禍による議員のスマート化は別問題です。条例で定まっている報酬がスマート化に比例して圧縮され、そこでダブついたお金をどう活用するか、それは受け取った議員にしか扱うことはできないため、「お金を効率的に活用する」といった手腕が問われるべきです。
ボクら議員はお金の使い方に様々な面で制限が掛けられています。その制限の中でどうすれば効果的にお金が使われ、政治が良くなるかを考え活用していかなくてはいけません。
今まではそれが「研修」であったり「会合」だったのかもしれません。
しかしコロナによって激変した今、議員のお金の使い方もアップデートさせること。そして、そのアップデートを実現できた議員は間違いなく政治を好循環させることができると考えます。これまで議論されることが無かった「議員のお金の使い方」、これをそろそろ日本全体で議論すべきではないでしょうか。
明ヶ戸亮太(あけど亮太):経営者×市議会議員
現在40歳:川越市議会議員(現在三期目)・広告会社代表取締役・ICTコンサルタント・FPのマルチタスク / JAPAN MENSA会員
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