地方議会選挙-初めての立候補(出馬)から当選までの必勝マニュアル
目次
はじめに
まず、タイトルに必勝と入れておいてなんですが、「必ず勝てる選挙」というものは存在しません。
どれだけ強固な三バン(※)を持つ議員だって、頭脳明晰容姿端麗な候補者だって落選するのが選挙の怖いところです。※ジバン(地盤)、カンバン(看板)、カバン(鞄)を指す選挙用語
しかし、言い方を変えればまったくの新人でも正しく戦略を組み立てることで現職を打ち破り当選を果たしてきた前例は過去にいくらでもあります。
ボク自身、20代から選挙に関わり、いまやその回数は三桁に達しました。小さな町の地方選挙から全国区の国政選挙、まったくの政治素人からベテラン議員のお手伝いと多岐に渡る経験をさせてもらいました。
選挙は経験を重ねれば重ねるほど候補者や活動内容、地域情勢や陣営のモチベーションを通して「選挙の勝敗」を感じ取ることができます。これは小さなロジックの積み重ねなので一言では言えませんが、ある程度選挙経験を重ねた人なら同じような「第六感」を持ち合わせているんじゃないでしょうか。
先述した通り「必ず勝てる選挙」は存在しません。
しかし、小さなロジックを積み上げることで限りなく勝利に近づくことができるのも確かです。
事実、ボクが初めて選挙に立候補(出馬)しようと心に決めたのは27歳の時、親族や知り合いに議員がいたわけでもないし、零細企業に勤めていたのでお金があったわけでもありません。親に「選挙に出て議員になる」と言っても「絶対に落選するからやめろ」と言われたほどでした。
それでも議員になるために必要なものは何か、自分に不足しているものは何かを徹底的に分析し、必要な情報や知識をかき集め、カタチにするためにそれに見合う行動を起こした結果、初出馬から無敗で三期目を過ごしています。(2021.10現在)
これらの経験から見えてきたことを基に、この記事では「新人でも勝てる地方議会選挙戦略」をテーマに解説すると共に、選挙に対して誤った先入観を持っているがゆえに「立候補(出馬)」という選択肢を持つことができない人たちに、その誤った先入観を取り払ってもらうことを目的としています。
記事の前半では「選挙制度」について、後半では「当選に向けてのテクニック」を取りまとめて記載しました。
自分の住まう街を良くしたい、日本を良くしたい、そんな志を持つ人々の選択肢に「地方選挙に立候補(出馬)する」という新たな選択が加わる、そんなきっかけとなれば幸いです。
選挙には莫大なお金がかかる?
これまで選挙について数多く相談を受けてきた中で、一番多かったものが「選挙ってたくさんお金がかかるんでしょ?」というものでした。
まだまだ世間的には「選挙はお金がかかる」というイメージもあるようですが、そのイメージの大半は特定の議員の汚職が原因であり、実際にお金がかかるのは国政選挙のような大きな選挙だけです。
確かに一昔前までは地方選挙でも多額のお金がかかっていましたが、これだけ情報化が進んだ昨今、選挙ツールを作成するのも政治活動を行うにしてもそれほどの費用は掛からなくなっているのが実態です。
とはいえ全く掛からないとは言えずある程度の出費は覚悟してください。しかし、当選をすれば議員として働き、行政のウン百億という予算に介入する立場になるわけです。「議員となってバリバリ働くぜ!」と決めたのならば2~3ヶ月分くらいの給料分のお金は用意できるだけの金銭感覚は必要です(個人的見解)。
次いで多い質問が「選挙って誰でも立候補できるの?」であったり「何か資格が必要なの?」といったものです。
この辺りは選挙の制度を説明しながら解説したいと思いますので、次章をご覧ください。
1章 立候補をするには
そもそも選挙とは?
選挙とは何でしょうか。基本的なことからおさらいしましょう。
選挙(せんきょ)とは、組織または集団において、投票などの手続きによって、代表者や役員などを決定することをいう。
国政に関する選挙は国政選挙(こくせいせんきょ)、地方自治に関する選挙は地方選挙(ちほうせんきょ)と称される。
ウィキペディア(Wikipedia)より
上記の通り、一口に選挙と言っても議員(政治家)の選出だけが選挙ではありません。学級委員だろうが会社役員であろうが複数人において投票を経て人員選出する手法をまとめて「選挙」と言います。その為、議員(政治家)選出のための選挙は「地方自治体選挙」であったり、国政でいえば「衆議院議員選挙」「参議院議員選挙」を総称して「国政選挙」が正しい呼称となります。
そして選挙に立候補するための資格となる被選挙権に特別な資格などはありませんが、それでも一定の条件はあります。以下をご覧ください。
図の通り、すべての前提条件に「日本国民であること」があります。そして年齢制限の他に市区議会・町村議会議員の選挙においては立候補する自治体に立候補時点で三ヶ月以上の居住実態があることも条件となります。これらの条件が揃っていれば供託金を収めることで誰でも立候補することは可能です。難しい条件はありませんね。
●選挙に関わる二つの法律
議員選出の選挙は法律も関わってきます。
民間組織内部の選挙であれば組織内部の規則で選挙制度が定められていますが、議員選出に関わる選挙に関しては上記の被選挙権の条件のように公職選挙法や政治資金規正法という二つの法律が大きく関わっており、様々な規制(規正)が設けられています。
少し複雑な話になりますが、公職選挙法はその名の通り主に選挙活動に対しての規則を設けており、その対象は現職議員であったり候補者(候補予定者)に該当します。
そしてもう一方の政治資金規正法は主に政治団体のお金の扱い方であり、その対象は基本的には政治団体となります。名称の一部が「規制」ではなく「規正」となっていることからもわかる通り、政治団体のお金の正しい使い方を定めた法律となっています。
この二つの法律を把握すればもちろん望ましいのですが、
はっきり言ってこの二つの法律めちゃめちゃ複雑です!
文言通り読み解くことももちろん必要ですが、曖昧な文言は選挙を通して得た肌感覚で解釈されている部分もあり、それら全てを把握することはまず不可能と言っても過言ではありません。
そこで、押さえておくべきポイントは「事前の選挙運動は行わない」「お金やものを配らない」。ざっくりですがこの二点は必ず守りましょう。ちなみにこれは候補者だけに適用されるのではなく、その身内や近しい人が行ったとしても法律に抵触する可能性があるので注意しましょう。
●お金のかからない選挙
繰り返しになりますが選挙と言えばお金がかかる!そんなイメージは未だ拭えていません。
事実、過去には「選挙事務所のおにぎりにはお札が入っていた」とか、「候補者(議員)から料亭で豪華なうなぎをごちそうになった」とか、ドラマのような話ですが今でもたま~に聞こえたり聞こえなかったり、、、
確かにそのような活動をしていればお金がいくらあっても足りませんが、お金がかかると言われる所以はそれだけではありません。
人件費や配布物、事務所代に交際費と積み重なる出費はキリがありませんが、それらの出費も優先順位を付けることで大きく削減することができます。
更に、立候補をするにあたり必要な供託金は、仮に落選をしても一定の得票数があれば返金されますし、選挙を戦うのに欠かせない選挙ポスターや選挙カー、更には選挙カーのドライバー人件費やガソリン代などは公費負担があるため実費での負担はほとんどありません。
このような理由からも地方選挙であれば、「選挙にお金がかかる」は誤解であり、選挙前の「政治活動」にお金がかかるというのが正しい表現になります。
では政治活動には多額の費用が掛かるかと言われればそうではありません。
まず、政治活動にかかる経費は大きく分けて三つあります。
- 人件費
- 広報費
- 事務所費
主にこの三項目が政治活動で大半を占める費用区分となります。この三項目を抑えることができれば政治活動における費用負担は大きく圧縮することができます。
ではどうすればいいのか。
今は政治活動もその在り方に変化が生じており、これまでのような「古き良き議員像」は姿を変えてきました。
それに伴い支出配分も変化した結果、以下のような節約術が生まれました。
- 広報物(チラシやリーフレット)はネット印刷を利用する
- 事務所は自宅を使う
- まずは身近な友人や家族に協力してもらう
- SNSを活用する
順を追って解説します。
まず、配布物はネット印刷を利用しましょう。今ではインターネットで検索すればいくらでも出てくるネット印刷。店舗型の印刷会社と異なり、データ作成などは自身で行う必要はありますが、ワードやエクセルでもググりながら作成すれば十分な仕上がりとなります。
1万枚のチラシを作成するにしても3万円もあればお釣りがきます。仮に店舗型の印刷会社に依頼したとすれば2倍から3倍の費用となるので、多少時間がかかってもエクセルやワードでチラシデータが作れるようにしましょう。
地元経済を回すことは大事ですが、費用面で立候補を断念しては本末転倒です。広報物の作成はネット印刷を活用しましょう。
そして事務所です。議員や候補予定者といえば事務所を構えているイメージがありますが、地方議員で事務所を構えている人はほとんどいません。それでも何故そのようなイメージがあるかと言えば、ドラマや映画のイメージが強いのかもしれませんね。
始めて選挙に出る人ならばなおさら選挙前の事務所に支援者が集まるなんてことは(残念ながら)ほとんどありませんので、事務所登録は自宅で十分です。サポーターとの打ち合わせの際はその都度カフェなどを利用した方が安上がりだし、美味しいコーヒーも飲めるので一石二鳥です。
そして政治活動に必要な支援者でありサポーター。当然ながら地方選挙に秘書を雇う必要はありませんので、あなたの志に共感してくれる友人や家族にボランティアで協力してもらい活動を広げていきましょう。
逆説的な話をすれば、共感してくれる仲間がいなければ選挙は戦えません。初めは政治的な発言をすることに抵抗があるかもしれませんが、臆することなく知人友人にどんどん相談してボランティアで協力してくれるサポーターを募りましょう。
そしてSNS。情報社会の今、足を使うだけが政治活動ではありません。これまで政治活動の行いにくかった深夜帯にはSNSを活用していくことは有益な時間の使い方です。よく選挙直前からSNSを更新する議員や候補者がいますが、本来SNSは育てるものです。直前になって「投票してください」という投稿で人の心は動きません。日頃から「政策を伝えたい」「意見交換をしたい」という考えを持って運用して、長期的な視点でSNSを育てていきましょう。
この4点を意識して活動すれば「人件費・広報費・事務所費」を大きく圧縮できるので、選挙に向けての政治活動で必要以上にお金がかかることはありません。是非頭に入れておいてください。
2章 政治活動と選挙運動の違い
ここまで、政治活動や選挙運動と似たような表現を使ってきましたが、この線引きは必ず理解しておかなくてはいけません。
この言葉の理解を誤ると、日頃の活動の中で公職選挙法に抵触する危険があります。整理して説明をしていきますのでしっかりと理解をしていきましょう。
●政治活動でできること
「選挙は選挙が始まる時点で決まっている」と言われるほど、選挙前に行う政治活動は重要です。なぜならば選挙期間は短くて町村議員選挙の5日間、長くても参議院選挙や都道府県知事選挙の17日間と全有権者に理念や政策を伝えるには圧倒的に時間が足りません。
そこで各候補(予定)者は選挙が始まる前に政治活動を通して政策発信を行っていきます。
「それって実質選挙活動じゃないの?」と思うかともいるかもしれませんが、その微妙な法の隙間を縫って活動をしているのが現状です。。。
選挙が始まると政策チラシ(公選ビラ)の配布枚数に制限がかかりますが、政治活動であれば選挙と選挙の間の期間は際限なく活動できるので、お金があるならば実質無制限に政策の訴えが可能です。その為、いかに選挙が始まる前に政策チラシを配布するか、街頭演説を行うか、政治集会を行うかを創意工夫して、来る選挙に向けて支援の輪を広げるのが政治活動の肝となります。
注意しなくてはいけないのは政治活動の中で「選挙に立候補します!」と明言したり、選挙に立候補した際の「投票依頼」は絶対にNGです。言った言わないの世界ですが、明らかに事前の投票依頼と思われる悪質なものでは警察による調査が入る可能性もあるので政治活動を行う際の注意点として覚えておきましょう。
●選挙運動でできること
選挙運動とは選挙期間中にだけ認められた活動です。例えば一般市議会議員選挙であれば基本的に日曜日に告示、翌週の日曜日が投開票日となります。その為、告示日の日曜日を初日とカウントして7日間の土曜日までが選挙期間となります。
選挙期間中に行える運動は政治活動で禁じられていた「投票の呼びかけ」「掲示板への選挙ポスターの掲示」「指定配布物の配布」「名入りたすきの着用」「選挙カーの使用」などがあります。※たまに選挙期間外でも名入りたすきを着けて駅に立っている人がいますが、あれな公職選挙法違反なので真似をしないようにしてくださいね。
政治活動では投票の呼びかけはできませんでしたが、選挙運動(期間中)であれば投票依頼も可能となります。しかも選挙カーを使って行うことができるので、選挙活動の中心は選挙カーなどの拡声器を通しての投票依頼になります。平成25年に公職選挙法が改正されてインターネットによる選挙運動が解禁されましたが、まだまだ主流はアナログな運動であるのは否めませんね。
よく選挙カーへの意見で「名前の連呼ばかりでうるさい!」という声がありますが、これは公職選挙法第百四十一条の三において、動いている選挙カーでは連呼行為しか認められていないためやむなく行われている行為でもあります。
ちなみに選挙期間中もマイク(拡声器)を使っての選挙運動は8時から20時までの12時間と定められており、これにはもちろん選挙カーの拡声器も該当するため、選挙カーで選挙運動ができる時間も8時から20時までとなります。
逆の言い方をすれば他の時間でもマイク(拡声器)を使わなければ24時間選挙運動は可能です。それもあり最近の選挙では、選挙期間中は毎日始発から駅前に立って早朝のあいさつを行う候補者の姿が増えてきました。これは体力勝負なので若い候補者程有利な戦略ですね。
このように選挙期間中はあらゆる手段を使って投票依頼を行うことができますが、投開票日は少し特殊な一日となり、その日に関しては一切の政治活動も選挙運動も行うことができません。ごく稀に投開票日に特定の候補者のSNSをシェアしたり投票を促す投稿がありますが、これも悪質なものとみなされれば公職選挙法に抵触する可能性もありますのでご注意ください。
3章 徹底した自己分析
これまで選挙の基礎的なことを説明してきましたが、ここからは具体的な選挙への取り組み、当選に向けてのテクニックの解説に移ります。
まず、これまた基本的なことですが、選挙に立候補するということは議員となって政治分野で成したいことがあることが絶対条件となります。
これは多少漠然でも良いのですが、掘り下げれば掘り下げるほどターゲットが明確になるので、マーケット戦略として有利に働きます。その為にもまずは自身が政治の舞台で何に対して問題意識を持っているのか、そしてそれをどのように改善していきたいのかを掘り下げて考えましょう。
あなたが政策を訴えた際、耳を傾けてくれるのはその政策に一定の関心を持っている層です。それは自分たちの生活に直結している内容であればあるほど強く関心を引き寄せます。
一言で「政治を良くしたい!」では漠然としすぎていて、結局のところ誰の耳にも届きません。
福祉、教育、環境、経済、育児、インフラなど、政治は森羅万象あらゆる分野を包括しています。だからこそ着手すべき課題を抽出して、その課題に対してどのような政策提言を行うかを自分自身の中で整理しましょう。
行政の課題は何か、その課題を解決するためにどのような政策が必要か、その政策を具体的にピックアップして優先順位を明確にする。それによってあなたの政策を見る側も具体的なビジョンを共有することができます。ポイントは「自分がやりたいこと」だけではなく、「政治が取り組まなくてはいけない課題」に目を向けることです。
以上の掘り下げの結果、やるべきことが明確になったら自己分析に移りましょう。
まず、政策は発信者によって相手に届く量が異なります。
仮定の話をします。
Aさんは現役看護士の38歳、Bさんは25歳フリーター。このふたりが全く同じ政策を訴えたとしてもその背景から連想する政策への説得力は二人の信頼度から大きな差を生み出します。だからこそ自己分析を行い、打ち出す政策の訴え方や見せ方を試行錯誤することで厚みのある発信をしていきましょう。その方法として以下の3点が重点ポイントとなります。
- 年齢
- 性差
- 実績
年齢とは数値化されているためにその違いを明確に打ち出すことができます。20代30代であれば「体力」や「純朴さ」を、40代50代であれば「社会経験の豊富さ」をアピールすることができます。これは年齢から連想するイメージを政策に乗せて訴えることができますが、注意しなくてはいけないのは長所の裏側は短所でのあるということです。
若手市長の失策で財政が傾いている自治体の選挙で、20代の候補者が「フレッシュパワーで市政刷新!」といったキャッチコピーを掲げても逆効果です。時代や地域によって長所が短所になることもありますので、一般的に長所と思われる特性でもそのまま使うのではなく、政策と上手にマッチングさせるひと工夫が必要です。
次いで性差。誤解を恐れずに言うならば、男女の性の違いを理解したうえでアプローチ方法を変えることです。これは男女差別ではなく、有権者が性差をどのように捉えているのかを意識することです。
男性候補者の選挙ポスターでは険しい顔で握りこぶしのポーズをよく見ますが、女性候補者ではほとんど見たことがありません。もちろん女性候補者が険しい表情でこぶしを握ってはいけないなんてルールはありません。ではなぜそのような構図のポスターが無いのか。
それは有権者の求めている女性候補者のイメージに「戦う」イメージを持っている方が少数だからです。仮に女性候補者で、当選した暁にはガツガツ行政に切り込みたいとしても、「伝えたいこと」と「伝え方」はイコールではないことを念頭に表現を工夫しましょう。
そして実績。これはこれまでの人生経験から得た実績を掘り下げること。学歴であったり社会経験、他にも何か特殊な資格や特技でもOKです。その実績と紐づく政策を打ち出すことはバックボーンの証明ともなりますので、自慢するみたいで気が引ける、、、なんて考えずにドンドン発信していきましょう。ただし、政策と関係ない実績を打ち出しても意味がありません。例えば経済に明るい税理士が「福祉向上で明るいまちを!」と言ってもピンときませんが、「財政再建で福祉予算の充実化!」であれば実績を活かしたキャッチコピーとなります。
三つの項目について記載しましたが、これらはすべてが掛け合わせるものです。
年齢×性別×実績の組み合わせを一本のストーリーとなるよう構成した政策を打ち出すこと。これは何も有権者に合わせろというのではなく、実績の項目で出した例のように表現にひと工夫することです。同じ内容でも工夫次第で受け手のイメージは大きく変わります。しっかりとしたバックボーンのある政策とするためにも年齢×性別×実績を意識してみてください。
4章 地域分析から見える戦略
選挙に向けて欠かせない分析は二つあります。
それが先ほどの「自己分析」とここでお伝えする「地域分析」です。地域分析とはその名の通り、地域の選挙の特色を調査分析することです。
選挙は地域ごとの特色が如実に表れます。投票率の高い地域と低い地域では地方選挙で10ポイント以上の開きがあるのはよくある話です。その他にも若年層の投票率が低いであったり、特定政党の地方議員が多いなど、分析する要素はいくらでもあります。
その中でも欠かすことのできない項目についていくつかピックアップをして解説します。
●実際に投票した地域ごとの男女別年齢層の割合
あまり知られていないのですが、選挙における地域ごとの年齢別投票率というものが選挙管理委員会で保管されています。その資料を参考にすればA地区では30代の投票率が高い。B地区では50代の投票率が高い。更には男女別での投票率も記されていますので、各地域へアプローチする際の重要なデータとなります。
極端に投票率の高い年齢層がかけ離れている地区では、配布物を変えるのも一つの作戦です。その際は3章でも記載したように、政策の中身を変えるのではなく、表現を変えること。絶対に軸はブレないようにしましょう。
では単純に投票率の高い地区を集中して回ればいいのかというわけではありません。投票率の高い地区でも現職議員や候補予定者の多い地域に乗り出すのは危険エリアに突っ込むようなものです。理想は「投票率は高いけどライバルのいない地区」です。そんな理想的な地区があるわけないと思うかもしれませんが、これは地区ごとの投票率を分析して初めて目に見える情報です。調査の価値はあるのではないでしょうか。目指せブルーオーシャン!
●過去の選挙結果
続いて過去の選挙結果を分析しましょう。過去の選挙結果は戦略を立てるうえで貴重な資料となります。A党は何人当選したか、B党は何人落選したかなどで、おおよその政党票が推測することができますし、過去二回三回と遡ることで地域内における政党の支持率の推移も測ることができます。
「それならテレビ等で放送される政党支持率でいいじゃないか」と思う方もいるかもしれませんが、国政政党と地方の支持率が完全に一致することはありません。テレビで放送される政党支持率でA党40%、B党5%という数字が出たとしても、地方選挙ではB党の議員の方が多く当選するといったケースもしばしば見受けられます。そのため、地域の政党支持率を見るときは必ず過去の地方選挙の得票率を参考にしましょう。
その他にも「投票率の推移」であったり「初当選議員の年齢」なども目を通しておくこともおススメです。
初当選議員が多く、その大半が若い候補者であれば、その地域の有権者は既存の政治に飽き飽きしている可能性があります。逆に新人は誰も当選をしないような地域であれば現職議員がしっかりと地盤を固めていることが考えられます。
ちなみに現職議員は圧倒的に有利です。一度当選をすれば日頃から地域活動に声をかけてもらったり、公の場に参加する機会もあります。更には4年間の議員生活=現職議員として認知してもらえる期間ですので、よほどのことが無ければ落選の確率は低いと言っていいでしょう。その為、現職議員が固めているエリアに新規参入は現職議員が何かやらかしてしまったなどのお手付きがなければおススメはできません。
そして「投票率の推移」。当然ながら投票率が低くなればなるほど政党公認候補が有利になります。仮に100人の有権者のうち、30人がどこかしらの政党支持者だとしましょう。投票率が50%ならば無所属に入る票は20票となり、これが投票率40%なら無所属に入る票は10票となります。もちろん全体の投票率が下がれば投票に行く政党支持者の人数も減りますが、どこにいれるか決まっていない俗にいう「無党派層」よりも政党支持者の方が投票所に足を運ぶ傾向にあるため、投票率が下がることは政党公認候補者に有利になることは間違いありません。
●地域によって戦略は異なる
いくつか分析方法を記載しましたが、地域によって戦い方は変わってきます。
利用者率の高い駅そばに住んでいて体力に自信のある若手候補者ならば駅頭が効果的ですが、逆に地方の駅利用者率が低い駅ならば駅頭よりも個別訪問の方が効果的な可能性があります。メディア報道されるような注目度の高い議会であればSNSなどを駆使してキャッチーな政策がウケることもあるので若手候補者に有利ですが、町村議会選挙ではネット戦略よりも「地元での活動」が重視される傾向にあります。
地域性と自身のキャラクター(政策含む)のマッチング率をいかに高めるか、この分析は候補者の数だけ存在しますので、第三者の目線を取り込み分析を行いましょう。
5章 政党に所属する意味
●メリットとデメリット
国政選挙ほどではありませんが地方選挙でも政党の公認を得るのはプラスに作用することが往々にしてあります。ここで「プラスになる」と言い切らない理由は政党によって地域格差があるからです。4章でも触れましたが、国政政党として支持率が高くても地域によってその数字は大きく変動しますし、政党候補者が多すぎて票が分裂、結果として無所属が独り勝ちというケースだってありえるからです。それでも政党所属のメリットには以下のようなものがあります。
無所属での初立候補は裸一貫でのスタートです。ほとんどの人があなたの名前を知らないわけですから、支援者集めにも非常に苦労するでしょう。しかし政党に所属することですでにその政党を応援している一定数の支援者があなたに興味を示してくれます。これは強力なスタートダッシュになることは間違いありません。もし、政党の掲げる理念や政策に7割合致するのならば政党の公認を取ることも一つの選択肢としても良いでしょう。
「100%合致でなくていいの!?」と思う方もいるかもしれませんが、国務大臣でさえ総理大臣の政策に異を唱えることがあります。100%合致している人など政党の代表者でもない限りありえないでしょう。自身の譲れないポイントが相反しないのであれば政党に所属することを選択肢に入れることは決して間違いではありません。
しかし、政党に所属すれば当然ながら当選後の活動には一定の制限がかかります。時にはマルだと思うものにバツを付けなくてはいけない時もあるかもしれませんし、本意ではない候補者の選挙応援をさせられることもあるでしょう。他にも政党によっては毎月の上納金党費が条件となることもあります。それらのメリットデメリットを天秤にかけ、政党の公認取得について考えてみましょう。
ちなみに公認と似たような仕組みの一つに「推薦」というものがあります。これはザックリ言うと「公認というほど形式ばったものではないけど応援しているよ」というもので、投票所での候補者氏名一覧に政党名が記載されません。政党としての支援が弱くなる側面があるため、デメリットが大きくのしかかってくるので、その政党での活動を決めたのならば公認取得まで踏み込んだ方がメリットは大きいと言えるでしょう。
6章 インターネット活用法
平成25年4月19日にインターネット選挙運動解禁に係る公職選挙法の一部を改正する法律が成立したことで、選挙中にもインターネットを活用することが可能となりました。それまではSNSの更新はだけではなく、ブログもYouTubeも更新不可でした。法改正に尽力してくれた国会議員の皆さんに超感謝です。
そんなわけで今の選挙戦では欠かすことができないネット戦略。数多くの候補者が活用していますが、大半の方が「選挙直前からアカウントを作成(動かす)」します。これは選挙に限らずSEO的に間違っています。
まず、ホームページにせよSNSにせよ運用するうえで欠かせないのは「アカウントを育てる」ことです。
想像してみてください。あなたが一人の有権者だとしましょう。選挙が始まってから誰に投票するか決まっていない、そんな時にネットで立候補者をどのように調べますか?
検索キーワードはきっと「〇〇市 選挙 候補者」などになり、名前で検索することはありません。何故ならば名前を入力して検索する時点で誰に入れるかはある程度決まっていますので、ここでイメージをするのは「誰に入れればいいか分からない人」です。
その際の検索キーワードを想定して、ブログやSNSを運用すれば二ヶ月程度で「〇〇市 選挙 候補者」といった検索キーワードでトップ3を狙うことができるでしょう。
選挙直前に急いでアカウントを立ち上げても投票日までに育て上げる時間はありません。育っていないアカウントをフォローするのは「既に応援している人」だけです。それでは選挙時における情報発信としては十分な成果は得られません。
事前から時間をかけて価値のあるアカウントを育て上げていくことで「〇〇市 選挙 候補者」という検索に表示され、浮動票の目に留まりやすくなると共に、育ててきた過程で増えたフォロワーに支援してもらえます。直前の立ち上げでは選挙中の更新も手間がかかる費用対効果の悪いアカウントとなり、下手をすればやるだけ無駄となる結果もありえます。
7章 まずは顔を覚えてもらおう
ここからはさらに踏み込んで選挙に向けての準備に進みます。
政治活動で行う基本的なことは一人でも多くの方に政策を伝えることです。その為にはチラシやリーフレットを作成して街頭や駅で配布するのが選挙のセオリーです。その他にも6章で記載したSNSなども今では政治活動を周知するためには欠かせない手法の一つです。
様々な方法を用いてPRをするには共通のイメージを創り上げることです。
ザイオンス効果(単純接触効果)という心理効果があります。これは何度も繰り返し接触することで好感度や評価等が高まっていくという効果です。選挙で当選するには自治体の規模によって異なりますが1000から2000の得票数が必要となります。よほどのコネクションが無ければそれだけの人に繰り返し接触することは不可能でしょう。だからこそ自分の分身として接触してくれる配布物には共通するイメージを持たせる必要があります。
チラシ、リーフレット、ハガキ、ポスター、SNS。すべてにおいて共通するイメージを保有させるにはメインとなる候補者の顔写真を統一したものを使いましょう。俗にいう宣材写真です。
人は文字(テキスト)を記憶しても、20分後にはその42%を、1時間後には56%を忘れてしまうと言われています。だからこそ名前や政策だけではなく、付随して共通した顔写真を繰り返し見てもらうことで名前や政策を憶えてもらいます。
政策重視と言って写真や名前を小さく扱い、小さな文字で政策をびっしり書いても脳の構造上、残念ながら有権者の記憶には残りにくいのが現実です。だからこそ脳に記憶しやすいビジュアルから記憶してもらい、繰り返し発信することで好感度を高め、政策発信に繋げていくのが望ましいアプローチです。
その際、写真のチョイスは自身や家族のような身近な人ではなく、意見をストレートに伝えてくれる第三者に依頼しましょう。あなたを知らない有権者に伝えるのは近しい人だけが知る「あなたらしさ」ではなく、あなたらしくなくても多くの人が受け入れやすいあなたの表情です。
3章で書いた自己分析をもとに、第三者目線のあなたのイメージにマッチングする宣材写真を選びましょう。
8章 サポーター(支援者)を集める
選挙は一人で戦えるものではありません。
選挙まで時間がある期間は一人で時間をかけてチラシを配るなどの活動が可能ですが、選挙が近くなると準備に追われ満足な活動ができなくなります。そんな時に様々な活動をサポートしてくれる支援者がいなくては選挙はおろか、その体制作りすらも成立しません。
そこで、日々の政治活動に織り交ぜながらあなたの活動をサポートしてくれる支援者を一人でも多く募っていきましょう。
●政治団体の立ち上げ
まずは基本に戻りますが、政治活動を行う際には必ず政治団体を立ち上げましょう。これはお住まいの都道府県に設置されている選挙管理委員会に届け出を出すことで立ち上げることができます。
ちなみにこの政治団体という組織ですが、立ち位置はその名の通り「政治活動を行う団体」です。よく「〇〇(議員名)と明るい〇〇を創る会」とか、「○○「議員名」を応援する会」といった団体名を目にしますが、ぶっちゃけた話、後援会の名称はほとんど意味をなさないので公序良俗に反していなければ何でもOKです。
団体を立ち上げて初めのうちは実務は全て自分で行うことになるかと思いますので代表者はあなたの名前で構いませんが、会計担当者だけは身内の方にお願いしましょう。コストを抑えることはできると言っても選挙に向けての活動にはある程度のお金がかかります。会計責任者と連携を取って記載漏れの無いように注意をして帳簿を作成しておきましょう。
さて、政治団体が立ち上がったら続いてサポーターを募りましょう。この時の受け皿となるのが後援会です。後援会とは何ぞや?と思う方もいるかと思いますが、先ほど立ち上げた政治団体=後援会として機能させるのをおススメします。
というのも、支援者が増えてくると支出を伴うことがあります。例えば打ち合わせ時の会議室代やお茶代など。これらの支出を明瞭にするためには政治団体として収支計上することです。よくわからない団体でよくわからない支出があったとなれば指摘される要因にもなりかねません。細かいお金もクリアにするために政治団体を後援会として機能させていきましょう。
まずは地元の友人や同級生、SNS等で呼びかけをするのも良いでしょう(もちろんある程度アカウントが「育っている」ことが条件です)。
そして後援会に加入してもらったら何をしてもらうかを明確にしておくことも大切です。その際には相手によって求める内容は異なって構いません。定期的にチラシを受け取てくれる、一緒にチラシを配ってくれる、知り合いを紹介してくれる、選挙戦を手伝ってくれる。それぞれ求めるボリュームが異なりますので、応援してくれる人の背景を真剣に考え、協力依頼する内容を伝えましょう。
9章 事前説明会からが選挙準備の本格スタート
●選挙の前に忘れてはいけない「事前説明会」
後援会やチラシを作って選挙に向けて本格的な政治活動をはじめて、さぁあとは選挙に出るだけだ!
、、、ではありません。それまでの活動は「非公式」な活動であり、政治活動をしていれば誰でも選挙に出れるというわけではありません。
何かを占用しなければ政治活動に許可は必要ありませんので、「俺(私)は政治がこうなれば日本(地方)がよくなる!」という情熱のもと活動をしていても、それは残念ながら世の仕組み的には趣味の延長です。。。
ではどうすれば選挙に出れるのでしょう。その為に参加しなくてはいけないのが「事前説明会」です。
選挙が近づいてくると市役所では事前説明会、正式名称「立候補予定者説明会」が開催されます。およそ選挙の1~2ヶ月ほど前になると選挙管理委員会より立候補予定者説明会の案内が届きます。この説明会に参加をしなくては立候補をすることすらできないという非常に重要な集まりです。
なぜ事前説明会に参加をしなくてはいけないのか、説明会では何が行われるのか、続けてお伝えします。
●選挙のために必要な膨大な資料
選挙に立候補するには選挙管理委員会に立候補届出を出さなくてはいけません。
供託金であったり謄本であったりその他諸々、初めての人は戸惑うほどの膨大な資料が必要となります。どれくらい膨大かというと、小学生の夏休み一式くらい膨大です。
それらの資料の受け取りや細かな説明が行われるのが事前説明会であり、この会議に参加しなくては立候補の準備すらできないというわけです。
ちなみにこの事前説明会は参加するのは候補(予定)者本人でなくても問題はありませんが、初めて出馬をする方は必ず自身で参加をして立候補までの流れを把握しておきましょう。
※仕事の都合などでどうしても参加できない、または代理も立てられないという方は後日選挙管理員会から資料をもらうこともできますが、それでも資料に目を通しただけではちんぷんかんぷんになるので、繰り返しになりますが極力自身で参加、または代理を立てましょう。
この説明会では公職選挙法の基礎から選挙当日に提出する膨大な「立候補届出資料」を一枚一枚丁寧に教えてくれます。ボクは毎回友人とともに参加をしていますが、あまりに膨大な資料なので毎回「これって何だっけ?」というものが出てきます。
それくらい選挙に出るには準備に時間が割かれますが、ポイントとして資料の準備は極力自身で行うことをお勧めします。
なぜならば、この資料準備を人任せにしてしまうと、いざ書類上の不備が発覚した際に対処に一手二手遅れてしまうことがあるからです。これが選挙直前だと軽く病みます。
事前説明会は選挙の1~2ヶ月前に開催されることが多いのですが、この時期は比較的時間が取れるので多少の雑務も自分でこなす時間的余裕があります。後回しにせずに資料準備は前倒しが基本だと思ってください。
選挙1週間前にもなるとポスターや選挙カー、たすきに事務所と最終チェックがこれでもかというほどあるので、直前のドタバタを回避するためにも事前説明会で配られる資料は一週間程度ですべて片づけてしまいましょう。
●どんな資料があるの?
一週間で、なんて簡単に書きましたが、ここで揃える書類の量は繰り返しになりますが本当に膨大です。
謄本など市役所で取り寄せできるものは半日もあれば終わりますが、供託金は多額の現金を収める必要があるので法務局やら銀行やらを往復することになりますし(今はネットでも可)、選挙ポスターや公選ビラ、公選ハガキに選挙公報のサンプルは自分でデザイン作成ができないのならば印刷会社に何度も足を運んで納得するものを仕上げなくてはいけません。
※用語解説
選挙ポスター=選挙の際に設置される掲示板に張り出すポスター
公選ビラ=選挙中に配布できるチラシ
公選ハガキ=選挙中に発送できるハガキ
選挙公報=選挙中に選管から発行される新聞に折り込まれる候補者一覧の政策集
その他にも選挙中に新聞に折り込まれる選挙公報やドライバーや車上運動員(ウグイスさんなど)の届け出も必要です。
中でも一番時間がかかるのが選挙カーです。なぜならばレンタカーの手配→車上看板の手配とこれだけでも多方に依頼を重ねるのに、仕上がった選挙カーを公道で走らせるためには事前に警察署から使用許可を取る作業も必要となります。
これは何故かというと、看板を載せることで規格外のサイズとなること、またスピーカーを使用するので音響使用許可が必要となるからです。非常に手間暇はかかりますが選挙に選挙カーは必須ですので、必ず早いうちから作業に取り掛かるようにしましょう。
ちなみに選挙カーを使わないで選挙にチャレンジする方もいますが、初出馬の方にはおススメしません。ボクも選挙カーは反対派ですが毎回準備しています。なぜならば選挙カーの騒音で初めて出馬を認識される割合が非常に多いからです。
「選挙カーは騒音でしかない!有権者のためにも選挙カーは使わないで選挙を戦うぞ!」という主張は聞こえが良いのは確かですが、有権者にはあなたが「選挙カーを使わない気づかいのできる素敵な候補者」という認識の前に、そもそも立候補していることすら認識してもらえない危険があります。
ある程度期を重ねたベテランならばわかりますが、新人は必ず選挙カーを用意しましょう。
「選挙カーを使わないでも勝てる」と「選挙カーを使わないで戦う」は全く別物です。
●選挙には多額の公費が費やされている
選挙にはお金がかかると言われる所以の一つに「供託金」がありますが、この供託金制度は宣伝目的だったり遊び半分の候補者をふるいにかけるために設けられた制度です。そして供託金だけでも地方選挙で数十万、国政では数百万から1,000万円の供託金が必要となります。
こうやって見ると選挙に出るだけでお金がかかるんだなぁ、と思われるかもしれませんが、供託金は仮に落選をしたとしても一定の得票数であれば返ってくる制度なので、あまり気負う必要はありません。
更に、選挙ポスターや公選ビラ、レンタカー代にドライバーの日当にガソリン代は上限はありますが税金で補うことができます。これが選挙にお金がではなく、「選挙に向けての政治活動にお金がかかる」とえる理由です。
ボクらのような一般市議会議員選挙であれば期間は一週間。
その中で一番お金がかかるのは選挙事務所(家賃)ですが、不動産屋を経由して事務所を借りれば一週間だけというわけにはいかないででしょう。準備期間からとなれば1~2ヶ月必要です、それだけで10~20万円はかかるわけです。
その点自身で事業を営んでおり、事業所がそのまま選挙事務所になるという方でしたら出費はだいぶ抑えることができます。
とはいえ選挙中は多くの方が事務所に来てくれるので、自宅の一室というわけにはいきませんのである程度の広さは確保しておきましょう。
●事前説明会(立候補予定者説明会)後の流れ
事前説明会の後は兎にも角にも書類の処理です。選挙時に使う名称だったり誓約書だったり他にも手書きの書類が山積なので、これらは政治活動のできない深夜帯に取り掛かってしまいましょう。
そして日中の政治活動と同時に進めるべきものが、選挙事務所の確保、選挙カーの準備、選挙ポスターや公選ビラ、公選ハガキに選挙公報のデザイン確定、名入りたすきの購入、ドライバーと車上運動員の確保です。これらは選挙管理委員会事務局で確認が必要なものもありますので、わからないことがあれば些細なことでも選管に電話をして確認をしながら作業を勧めましょう。
以上の準備を選挙一ヶ月前までに済ませておくことができれば準備に遅れはありません。後は選挙当日を迎えるのみです。
しかし、選挙で一番慌ただしいのは選挙初日です。その準備は最も頭を悩ませると言ってもよいでしょう。それが、
選挙ポスターの貼り出しです。
これは少し長くなるので次章で解説しますが、この準備が選挙の当落の判断基準になるといっても過言ではありません。その根拠も併せてじっくりと解説をさせていただきます。
10章 選挙期間中の計画はお早めに
●選挙直前!最大の山場は選挙ポスターの準備!!
選挙準備の中でも最も難関かつ重要ともいえる選挙ポスターの貼り出しについて説明します。
選挙ポスター貼り出しの準備が盤石か否かは選挙結果に大きく影響するといっても過言ではありません。
なぜならば、この作業から「これまでの政治活動を通して選挙準備がどの程度整っているか」が可視化されるものであり、ここで躓いているということはこれまでの活動が不足している表れでもあるからです。
その理由を順を追って説明します。
●選挙ポスターを貼りだすには多くの協力者が不可欠
皆さんも街中で以下のような選挙ポスターの掲示板を目にしたことがあるかと思います。
これは選挙前の1~2週間に自治体によって設置されるのですが、選挙の告示日に選挙管理委員会へ立候補届を提出した候補者のみ選挙ポスターを貼り出すことができます。
よく「掲示板がもう建ってるけどもう貼っていいの?」と聞かれるのですが、立候補届を出せるのは選挙告示日です。そのため候補者がポスターを貼り出せる期間は選挙期間中(告示日から投開票日前日)だけとなりますので、選挙スタートと同時にスピーディーに選挙ポスターを貼り出すためには細かな計画を立てなくてはいけません。
掲示板の枚数は膨大です。自治体によってその枚数は異なりますが、川越市でも400枚以上あり、自治体の人口規模が大きくなれば更にその設置枚数は増えていきます。
先ほど計画と書きましたが、どれだけ緻密な計画を立てても候補者のみで選挙期間中にすべてのポスターを貼り出すのは時間的に現実的ではありません。候補者の周りに選挙ポスターの貼り出しに協力してくれるサポーターがいて初めて成立するものです。
ではどの程度のサポーターがいて、いつまでにすべてのポスターを貼り終えればよいのか。また、効率的に貼り出すためにはどうすればよいのか。一つの指標となる考え方を説明します。※ちなみに掲示板に貼られた選挙ポスターを無断で剥がしたり破いたりすると罪に問われる可能性があります。冗談でもそのような行為はやめましょう。(あと、候補者のメンタルに甚大なダメージを与えるので)
●選挙ポスター掲示板はどこにあるのか?
選挙ポスター掲示板を目にする機会はあまりありませんよね。特に設置場所まで考えながら眺める人はほとんどいないでしょう。
実は掲示板は選挙の度に設置位置が微妙に変わっているのですが、その理由は選挙ポスター掲示板の設置条件にあります。
- 人の流れが多いエリアを重点的に設置
- 設置許可の取れた民地に設置
- 公共施設に設置
上記がその条件です。
開発行為などによって街の形が変われば(1)が、市民から許可が得られなければ(2)が、施設の新設や閉館があれば(3)と、あまり頻繁ではありませんがこれらの条件によって掲示板の設置位置が変わることがあるので気を付けましょう。
前回まではあった場所に今回はない!なんてこともあるので、事前説明会でもらえる掲示板マップを早めにチェックして余裕をもって準備に取り掛かることを怠らずに。
●ポスターの貼り出しに必要なサポーターは何人ぐらい?
上でも書いたように川越市でも選挙ポスター掲示板は400枚以上あります。そして一枚の貼り出しに平均10分程度はかかります。単純計算で4000分ですので、とてもではないが一人で回りきれる枚数ではありません。
そこを見据えて「選挙ポスター貼り出り請負人」なる業者もいるくらいですが、これはおススメしません。
掲示板の枚数は自治体の規模によって異なります。自治体の規模が大きくなれば掲示板枚数も増えるし、当選に必要な得票数も増えてきます。そのため、掲示板の枚数は当選に必要な得票数に比例していると考えることができます。
サポーターの人数が足りずにポスター貼り出し作業を外注しないと期間内に貼り切れないというのは、それだけ選挙の規模と比べてサポーターが少ないという現れです。サポーターが少ないということは支援者が少ないということですので、当然ながら当選の可能性は低くなります。
これにエビデンスはありませんが、これまでの経験上選挙期間中にポスターが貼り終えていない候補者はボクの知る限りはほぼほぼ落選をしています。
そこで、ボクが考えるポスターの貼り終える時間的リミットは、
午前中にすべての選挙ポスターを貼り終えるこれが一つの指標です。
なぜ午前中に貼り出さなくてはいけないのか、それは多くの人の目に留まるのは休日だからです。
選挙告示日は日曜日であり、地方自治体の選挙期間中の休日は告示日(日曜日)・土曜日・投票日(日曜日)の三回しかありません。
その貴重な時間を有益に使うためには午前中に貼り終えるのを目標にする必要があります。
例えば306枚のポスターを午前中にすべて貼り終えるとすれば、一枚10分計算で3060分。
貼り出し時間は9時から12時までの3時間180分とすると、一人当たり18枚貼ることができます。
単純計算で306÷18=17人の協力が必要となりますが、掲示板の設置場所が高かったり幹線道路に面しているケースも多々あるので、二人一組が基本となります。
そのため17×2=34人のサポーターに協力をしてもらう必要があります。
普段の生活において、それだけ多くの人に、しかも休日にボランティアをしてもらうことはなかなかありません。だからこそその高いハードルを乗り越えられるだけの準備が必要であり、その準備が整っていれば厳しい選挙戦も戦い抜くことができます。
設置条件でも記載したように、掲示板は人の目につく場所に設置されています。そして有権者の中でも「無党派層」と呼ばれる固有の組織に限定されない人たちは選挙ポスターを参考にすることが多いという調査結果も出ています。
以上のことからも告示日午前中の貼り終えは効果的であり、その実現のために多くのサポーターに協力してもらうことはポスター貼り出しのみならず、さらなる支援の広がりにも繋がります。
- 選挙ポスターは告示日午前中に貼り終える。
- その為のサポーターを事前にしっかり募っておく。
- 自分の住む自治体では選挙ポスター掲示板がいくつあるのかを選挙管理委員会に確認をしておくこと。
上記の作業を助けてくれるサポーターを作ることが当選への大きな一歩となることは間違いありません。
そしてそれ以外にもサポーターの方々に協力してもらうことはたくさんありますが、ポスター貼り出しの次に悩ましいのが一週間の選挙カーをどのように運用するかです。
●選挙カー運用計画
地方選挙では国政選挙と異なり、数多くの候補者が入り乱れます。選挙カーと言えば「うるさい」であったり「しつこい」といったあまり良いイメージはありませんよね。まずこの認識を改めて持つことが大切です。候補者となるとどうしても熱が入ってしまい必要以上にマイクを通しての訴えに力が入りますが、それを有権者は求めているのでしょうか。
想像してみてください、これまで接点のなかった候補者が入れ替わり立ち代わり大きなマイクで名前を連呼している、決して「この候補者は大きな声で頑張っているな!」なんて事にはなりませんよね。むしろ「やかましい!」なんて思われても仕方ありません。
だけど、これが仲の良い友人だったらどうでしょうか?きっとイメージは逆転して、マイクを通しての訴えにもエールを送りたくなります。
何が言いたいかというと、受け手によって候補者のイメージが異なるという事です。その線引きは何か、それは候補者を応援している、または認知されていて初めてポジティブな印象で耳を傾けてくれます。当然のように思うかもしれませんが、選挙になると突然全域を回りだす候補者がいますが、見ず知らずの候補者にエールを送ってくれる人はなかなかいないでしょう。
だからこそ「政治活動を通して覚えてもらった地域」を重点地域として選挙カーを走らせることで訴えに耳を傾けてもらうことができます。
選挙はコップに例えることができます。
政治活動を通してコップを作り、選挙期間を通して水を溜める。ここで一定数の水が溜まれば当選に至り、足りなければ落選。
どれだけ選挙運動を熱心に行って水を溜めても、そもそもの受け皿となるコップが小さければ十分な水はたまりません。逆も然り。
選挙カーは政治活動で十分繋がりの育めた地域を中心に展開しましょう。候補者のことを知っている人は応援をしてくれますが、知らない人からすれば候補者は騒音をまき散らす存在です。相手目線を忘れずに。
●多くのサポーターの支援が欠かせない
選挙期間、選挙カーでマイクを使う事ができるのは8時~20時の12時間。その間、選挙カーを走らせるためにはドライバーとマイクを持って投票を訴える運動員(ウグイス)が欠かせません。
12時間フル稼働は現実的ではないので3交代として考えると一日に三組のサポーターに協力をしてもらわなくてはいけません。
ドライバーは一日三名、マイクを持つウグイス嬢は一名では喉を傷めてしまうので常に二名が乗るとなれば一日に六名。これを選挙期間中ローテーションで編成するわけなので、多くのサポーターが必要となることがわかります。
選挙というと多くの方がお金の心配をしますが、一番重要なのは「いかに多くの支援者に支えてもらえるか」です。多くの支援者に支えてもらえる候補者こそが当選に近い候補者であるのは間違いありません。
選挙戦の開幕
告示日を迎えいよいよ選挙戦が始まります。選挙戦が始まってしまえばやる事はどの候補者も大きな差はありません。本章ではその手順を箇条書きで説明していきます。
選挙告示日
- 1.立候補届の提出
- 2.立候補番号が確定
- 3.ポスター貼り出し開始
- 4.出陣式
- 5.選挙カー出発
- 6.公選ビラの証紙貼り
- 7.公選ハガキの準備
- 8.SNSフル稼働
1.立候補届の提出:選挙の立候補は告示日に選挙管理委員会に立候補届が受理されて初めて正規なものとなります。立候補の受付は告示日の8時30分から17時までとなっていますが、立候補が受理されなくては立候補番号が発行されないので、8:30より前に市役所でスタンバイをするのが通例となっています。また、自治体ごとに異なりますが、多くの自治体では届け出と同時に選挙カーの確認が行われます。必ず事前に「選挙カーの最終確認がいつ行われるのか」を確認しましょう。
2.立候補番号が確定:受付時間前にはすでに多くの候補予定者が列を作っています。これは8:30の受付と同時に立候補番号を決めるためのくじ引きするための列となっており、一回目で「くじ引きの順番」、二回目で「立候補番号」が確定します。
3.ポスター貼り出し開始:立候補番号はそのまま掲示板の番号となりますので、立候補番号が決まれば掲示板への選挙ポスターの貼り出しが可能となります。番号が確定次第、一斉に選挙ポスターの貼り出しを行いましょう。
4.出陣式:最近は出陣式を行う候補者も減ってきましたが、選挙事務所の士気を上げるためにも出陣式は効果的です。立候補届を終えて選挙カーが事務所に戻ってくる時間を見込んで、事前に出陣式の案内を支援者に配布しておきましょう。
5.選挙カー出発:出陣式が終わったらいよいよ選挙カーが出発します。基本的には「候補者」「ドライバー」「ウグイス嬢(またカラス)二名」の四名での出陣となります。ウグイス嬢(またはカラス)を受けてくれる方には事前に原稿を用意して練習しておいてもらいましょう。ベテランでもない限り練習無しでマイクを握ることが無いようにしましょう。また、選挙カーの運転は独特です。ドライバーの方には事前に注意事項などを確認しておいてもらいましょう。以下のサイトに詳細な説明があるのでぜひ参考にしてみてください。
選挙カーのドライバーを勤める際に気をつけたこと。ご迷惑を最小限に
6.公選ビラの証紙貼り:立候補の届け出と同時に証紙と呼ばれる小さなシールが渡されます。選挙期間中に配布できる選挙運動用の公選ビラにはこの証紙を一枚知枚手作業で貼り付けることが配布条件となっています。時間のかかる作業ですので、サポーターに協力してもらい遅くとも告示日の翌日には証紙貼りを完了しましょう。
7.公選ハガキの準備:選挙期間中に郵便局に提出して配布をする公選ハガキ。印刷代は候補者負担となりますが配布代は公費となります。候補者のPRに有効なのは間違いがありませんが、いかんせんかなりの手間を要します。理想的な活用法は、支援者に知人友人の宛先を記載してもらい、候補者が集めて郵便局に提出。
8.SNSフル稼働:これまでSNSアカウントを育ててきたのならば継続して情報発信をしていきましょう。投票日は更新ができませんが、選挙期間中の投稿は残しておくことができるので、「誰にしようかな~」とSNSで情報を集めている人へのアプローチとしては持続的な効果が期待できます。
選挙中日
- 9.たすきをかけて早朝からの駅頭
- 10.選挙カーフル稼働
- 11.公選ビラ配布の手配(新聞折込)
- 12.公選ハガキを指定郵便局に提出
- 13.SNSフル稼働(8と同じく)
9.たすきをかけて早朝からの駅頭:選挙は体力勝負です。もしあなたが誰にも負けないほど体力に自信があるのならば早朝、深夜の駅頭を行いましょう。選挙期間中はマイクを使っての選挙運動は8時から20時までですが、マイクを使わなければ24時間OKです。その為、始発から終電までたすきをかけて駅前で挨拶活動をすることが可能ですが、深夜はお酒を嗜んできた方に絡まれる危険もあるので、一人での駅頭は早朝だけにしましょう。
10.選挙カーフル稼働:選挙期間二日目から最終日まではとにかく選挙カーをフル稼働させましょう。選挙カーはあくまでも「支援者の呼び起こし」です。今まで支えてきてくれた方たちに挨拶の意味を持って動かしましょう。地元活動や駅頭、これまでの活動拠点を改めて回りながら投票の依頼をしましょう。
はっきり言って選挙カーはよほどのことが無ければ歓迎されません。あなたを知らない人があなたの選挙カーを見て「まぁ素敵!一票入れようかしら!」なんてことはほぼほぼありません。繰り返しますが運用のポイントは「支援者の呼び起こし」です。
11.公選ビラ配布の手配(新聞折込):公選ビラの用途は限定されています。基本的には街頭演説時に聞いている方への配布、そして新聞折込です。これは街頭演説の実施回数に左右されますが、すべてを街頭演説で配りきることはほぼほぼ不可能です。その為、選挙前に策定したプランに合わせて街頭演説での配布枚数を残してすべて新聞折込の手配をしましょう。新聞折込は手配から配布まで中一日を必要とします。その為、直前に手配をしても選挙期間中に配布ができなかった、なんてことにならないよう選挙の2~3日目にはすべての証紙を貼り終え、新聞折込の手配を完了させましょう。
12.公選ハガキを指定郵便局に提出:公選ハガキは候補者陣営から申請用紙と共に郵便局に持参して手配します。分割して申請も可能ですが、できるならば一括で発送手配をしましょう。公選ハガキも公選ビラと同じく有権者の手元に届くまでにタイムラグが生じます。選挙中日までには手配を終わらせるようにしましょう。
選挙最終日
- 14.たすきをかけて早朝からの駅頭(9と同じく)
- 15.選挙カーフル稼働(10と同じく)
- 16.マイク納め
- 17.SNSフル稼働(8と同じく)
16.マイク納め:選挙の最終日、候補者によってはマイク納めを行います。20時までがマイクの使える時間であることは先述した通りですが、最終日最後の時間に支援者を集めてお礼を兼ねて最後の街頭演説を行うことをマイク納めと言います。とはいえ夜の20時前、しかも野外に多くの支援者に集まってもらうのも難しいので、人流の多い駅前などでマイク納めを告知し、集まってもらった支援者と通行人に向けて最後の演説をするのが主流となっています。
いよいよ迎えた投票日
選挙戦を終え迎えた投票日。この日は全ての選挙運動、政治活動が禁止されています。チラシ配りや投票依頼はもちろんのこと、内容によってはSNSの「いいね」も公選法違反になる可能性があります。焦る気持ちを抑え、投票日は自身への投票を最優先に済ませておきましょう。
中には「電話作戦」を行う陣営もあります。電話作戦とは、投票依頼ができない中、有権者宅に片っ端から電話をして「〇〇(候補者名)事務所ですが、投票をお済ませでしょうか?」と投票依頼ではないけど実質的な投票依頼をする作戦です。これは今でも頻繁に行われているのですが、これを投票依頼ではないというには少し苦しいと思う(個人的に)のでおススメしません。
そして夜は選挙事務所で支援者と開票待ちです。20時が投票締め切りですので、21時を目安に事務所に集まってもらい、これまで長い間支えてきてくれた支援者と共に当選の瞬間を味わいましょう。その際、出せるのは選挙中と同じくお茶とお茶菓子程度です。たま~に善意でお酒を持ち込んでくれる方もいますが、公選法に該当する可能性が高いので丁寧にお断りをしましょう。
地方選挙の開票時間は自治体によって差はありますが、21時~22時頃から得票数の発表が行われます。その後は30分ごとに各候補者の得票数が発表されるたびに事務所内は一喜一憂すること間違いなしです。
当選後の活動
無事、当選を果たしてほっと一安心、、、というわけではありません。
その翌日から事務所の撤去に選挙カーの返却、収支報告の提出に当選証書の授与式とやる事は山積みです。
そして忘れてはいけないのは支援者の方々のもとへの当選報告。開票待ちに参加してくれた人たちにも改めて当選報告に訪れるようにしましょう。
ちなみに当選後のお礼回りは公選法で禁止されていますので、あくまでも「当選報告」であることを忘れてはいけません。「長い期間支援してくれたんだからお礼は当たり前じゃないか!」と思うかもしませんが、法律で禁止されている以上絶対にダメです(なぜかネット上のお礼はOKとこれまた変な法律です)。
当選はゴールではなくスタートラインです。勝って兜の緒を締めろとはよく言ったもので、当選したことで満足するのではなく、これからの議員活動に邁進しましょう。
最後に
いかがでしたか?
選挙というと選挙期間中のみピックアップされがちですが、各候補者は政治活動を通して長い期間の選挙戦を戦っています。
この記事では基本的な仕組みや一般的な戦略について書きましたが、選挙は候補者を「議会に携わる一員」として認めてもらうための政(まつりごと)です。住む人も違う、文化も異なる地域に設置された議会に対して正しい戦略なんてものはありません。
候補者や地域によって異なる戦略を正しく組み立て、厳しい選挙戦を戦い抜きましょう。
そしてあなたが成し遂げたい政策を実現するための厳しくもやりがいのある仕事が議員という仕事です。
この記事で書いた戦略はほんの一例です。地域によって、候補者によって異なる戦略を緻密に組み立てなくてはなりませんし、その戦略を組み立てるにも経験が欠かせません。
ボクは議員になる前に約2年間、アポなしで飛び込んだ国会議員の事務所でボランティアをしていました。
サラリーマンとして働く傍ら、土日祝日の休日全てをボランティア活動に充て、現場で政治を学んできたものは間違いなく自身の選挙に生かされたと自負しています。
政治との関わり方は多種多様です。今ならSNS上で交流することも良い経験になります。
しかし、骨身に染み渡る経験といえばやはり直接的な活動に参加することだと経験上断言します。
議員であれば誰だって市民からの連絡は嬉しいものです。(と、思います、、、)
選挙に限らず、日頃の政治活動を含め、政治の中に飛び込むことはあなたが選挙に立候補する際の血肉となることは間違いありません。
「議員になって世の中良くしたい!」という方にはいくらでもサポートをしますので、以下のフォーム、またはTwitterからご連絡ください。
この記事を読んで一人でも多くの方が少しでも選挙を理解し、政治に関心を持ってもらえれば幸いです。
明ヶ戸亮太(あけど亮太):経営者×市議会議員
現在40歳:川越市議会議員(現在三期目)・広告会社代表取締役・ICTコンサルタント・ファイナンシャルプランナー / JAPAN MENSA会員
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