お金をたくさん稼いでる人は稼いでない人より偉いのか?
納税額が多いから偉いという論調
「俺は人より稼いでいるから人より多く納税している。だから俺の主張は正しいんだ。」
このような主張を目にしたことはありませんか?
情報化によりこれまで交わることが無かった人々が繋がり、ネット上で交流することから様々な論調を目にする機会が増えました。
それぞれの主義主張や思想はその人の価値観に基づくので、絶対的な良し悪しは付け難く、それらの発信に対する評価は大半が相対的なものになります。
それでも近年の頻繁に目にする冒頭のような「納税額が多いものが正しい」といった主張に対しては、法治国家の制度として誤っている点があるため是正の意味も込めて記事を書きます。
納税額の大小は個人の地位に影響するのか
結論から言うならば、納税額が個人の地位であったり発言力に影響を及ぼすことはありません。
日本社会においては、例え月収一億円の富豪であっても低所得による非課税世帯に対して行動や発言を規制するようなことはできませんし、社会として認められていません。(会社などの組織内部のローカルルールとしては存在しますが)
この主張による大きな問題は、収入の多い人が自分より収入の少ない人の意見に耳を傾けないことを是とする空気感を生み出してしまう恐れがあることです。
「そんな大袈裟な」と思うかもしれませんが、年収マウントはSNS上で頻繁に目にするだけではなく、そのマウントを称賛する声まで上がっているのが事実です。
しかし、この「所得至上主義」を是とした際、どのような弊害が生まれるのでしょうか。
日本の平均所得は約550万円。そして年間所得1,000万円以上は全体の13%程度です。
所得至上主義では年間所得1,000万円の人々は残り87%よりも日本社会において発言力を持つことになります。
そして、全国の政治家と呼ばれる都道府県議員や国会議員は1,000万円以上の報酬を受けており、所得で言えば日本全体の13%に属しています。
条例や法律という制度を作る立場の人間が、所得が多いからという理由だけで残り87%の声に耳を傾けなかったらそれこそ日本は独裁国家となってしまいます。
仮に政治家が「所得の低い国民の言うことなんか聞かないよ!」なんて言おうものなら一瞬で炎上すること間違いなしで、そこには年収マウントをしている方々だって参加をするでしょう。
もちろん平均額よりも多く稼ぎ、多く納税している方はそれだけ多く社会に貢献していることになります。その点においては事実であり、そのような納税者が増えることは日本も望んでいます。
しかし、人生はいつ何が起きるかわかりません。会社の倒産であったり突然の事故で働けなくなったり、少し後ろ向きな言い方ですが、人生は成功だけが約束されたものではありません。
その時、社会保障という税金に支援を受ける可能性は誰もが持ちうる事実です。
このことからも「今が絶好調だぜ!」と現状に溺れているのは、自身の未来が良いも悪いも含めて多岐にわたる可能性を秘めているという事実に目を向けることができていない、視野の狭さを物語っています。
なぜ納税額が多いと善と勘違いされるのか。
それでもなぜ「納税額が多いと偉い」といった所得至上主義が広がりつつあるのでしょうか。
考えられるのは、ネット社会において自身のステータスを数値化したお金が非常にわかりやすいからであると考えます。
実際、資産運用などで多額の資産形成を実現した人はネット上でインフルエンサーとなり、様々な賞賛を浴びています。
その姿にあこがれた若者たちから過剰な「資産公開」が流行りだし、根拠のない数字を用いた所得至上主義が生まれているのではないかと推察します。(ぶっちゃけた話、虚偽の数字も大量に紛れていると思います。加工はいくらでもできるので、、、)
この流れはまだまだ収束することはないかと思いますが、所得の多い少ないという価値観ではなく、その所得を用いて何をするかに重きを置く社会であるべきと考えます。
「俺はこんなに稼いでるぜ!」よりも、「俺はこんなに社会に面白いことしてるぜ!」の方が褒められる、そんな社会の方がみんながハッピーになれる社会ではないでしょうか。
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明ヶ戸亮太(あけど亮太):経営者×市議会議員
現在40歳:川越市議会議員(現在三期目)・広告会社代表取締役・ICTコンサルタント・FPのマルチタスク / JAPAN MENSA会員
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