鬱病(うつ病・躁うつ病)を知ることから始めよう
なぜ鬱病になるのか
鬱病というと一部では「甘え」や「気持ちが弱い」などの精神論で片付けられてしましますが、そんな単純な仕組みではありません。
医学界でもまだその仕組みは正確には解明されていませんが、一説にはモノアミンという神経伝達物質が減少することで鬱病が引き起こされると言われています。
要するに脳のエネルギーが不足した状態であり、それによって気分が落ち込んだり体を動かすことに消極的になったりとさまざまな意欲の低下を引き起こします。
それらを知らずに「鬱は甘え」といった発言は、自ら無知をさらけ出しているおり、最高に格好悪い発言なので気を付けましょう。
人の身体は脳のエネルギーが正常に機能していれば時間をかけて休息することで快復に向かいますが、鬱病はその脳の物質が不足している状態です。その為、適切な処置をしなくてはどれだけ時間が経過しても症状は改善しませんし、場合によっては症状が悪化してしまい、やがては仕事やプライベートに大きな支障をもたらしてしまいます。
しかし、まだまだ鬱病には誤解が多く、精神論で片付けられてしまうことがあります。
鬱病を甘えの一言で片付けてしまう人は風邪をひいた人に対して「風邪は甘え」と言っていると同義です。
なぜならば風邪も鬱病も発症の原因があり、その原因のもと体内に変化が生じているという意味では風邪も鬱病も、広義では骨折だって同じです。
あなたの会社で同僚が骨折をしてしまったらどうしますか?
仕事をするにも十分なパフォーマンスを発揮することはできないので、周囲が理解を持って協力をしますよね?
それができるのは骨折という症状に対して周囲の人が十分な知識を持ち合わせているからです。
鬱病という病気に対して周囲の人びとが正しい知識を持ち合わせていないと、結果として全体のパフォーマンスを低下させる結果となります。
だからこそ改めて鬱病に対しての理解を深めていきましょう。
鬱病の種類
鬱病は大きく分けて二つの種類があります。
■うつ病(大うつ病性障害)
うつ病とは、生活上のストレスが発症の引き金となることがあります。
症状としては気分が落ち込んだり、周囲への興味関心の減少、不眠などがみられます。
■躁うつ病(双極性障害)
躁うつ病は、うつ状態と躁状態を繰り返す症状であり、躁状態のときには気分が高ぶり誰かれ構わず話しかけたり、積極的に動き回ったりと非常に活動的になりますが、うつ状態の時には一転して憂鬱で無気力な状態となります。
なぜ鬱病になるのか
一般的に鬱病は遺伝とストレスの二つが原因であると言われています。
家族にうつ病になったことがある人がいると発症率が高いことが研究結果から示されており、遺伝的にうつ病になりやすい体質が存在すると考えられています。これはDNAに刷り込まれたものなので、本人の努力とか全然関係ありませんよね。
ではストレスとはどのようなものかを考えてみましょう。
ストレスというと嫌なことであったり抵抗のあることと向き合う時に生じる心への圧力です。
しかし鬱病では心への圧力のみならず、脳への突然の想定外の情報という微細なものもストレスとして感じ取ります。
その為、子どもの結婚や仕事の昇進など、プラス要素となる脳内環境の突然の変化がきっかけで鬱病を発症するケースもあります。
遺伝にしてもストレスにしてもモノアミンの減少が鬱病の発症要因の一つであることは先述した通りです。
そこで、モノアミンを形成するひとつであるセロトニン(感情にブレーキをかけ、平常心を保つ役割を持つ物質)を分泌させるために太陽光にあたることは鬱病の抑制に一定の効果があると言われています。
逆を言えば太陽光にあたる時間が短いことは鬱病を引き起こす一要因になりえます。
事実、北海道や秋田県などの日照時間の少ない地域は鬱病の発症率が高く、外国のシアトルでもウィンター・ブルース(冬の憂鬱)と言われるほど冬の日照の時間の少ない季節への注意喚起が行われています。
男性と女性、どっちが鬱病になりやすい?
厚労省の資料を見ると、鬱病は男性に比べて女性の方が発症率が高いことがわかります。
40代をピークに男性は約1.1%、対して女性は約1.5%と約1.5倍です。
先ほど鬱病になるには遺伝とストレスの二つの原因があると書きましたが、遺伝は男女問わず平等に割り振られています。
このことからも女性の方が現代社会を生きるうえでストレスを感じやすいことがわかります。
女性の鬱病を解消するには、まずは現代社会の基盤構成から見直さなくてはいけません。
これは、もともと女性の方が男性に比べてセロトニンの分泌量が少なく、さらには生理の時期には通常時よりもこのセロトニンが減少することが要因と言われています。
更には女性は男性と比べて私生活でも環境の変化が多く訪れます。結婚や出産、仕事ではより多くの負担が考えられます。その事からもストレスによるホルモンバランスの乱れなど、男性より心のバランスが崩れやすくなる要因が多いのは間違いありません。
そう考えると教育段階で男子も生理などをはじめ、女性の身体についてもっと学んでおく必要があるのかもしれませんね。
まとめ
鬱病は複雑な病気です。
詳細まで記述しては情報があまりにも多すぎるために、この記事ではポイントとなる部分だけを抽出してみました。
鬱病の方ではなく、鬱病をよく理解していない人に少しでもその理解を深めてもらえたのならば幸いです。
繰り返しになりますが、うつ病・躁うつ病は体内に変化が起きた結果の病気です。
体内にウイルスが入り引き起こす風邪や、骨部損傷による骨折と同じ原理です。
そう考えると鬱病に対して「甘えだ!」とか「気合いで直せ!」という事がどれだけ格好悪い発言かわかりますよね。
周囲の理解が深まることが鬱病患者の支援に繋がり、結果として社会全体がパフォーマンスの高い結果を生み出すことができます。
その為にもまずはうつ病・躁うつ病とは何か、日頃から考えることがよりよい社会を創り上げる第一歩となります。
最後に厚生労働省の「働く人の「こころの耳SNS相談」」のご紹介です。
働く方等に対して、心身の不調や不安・悩み等メンタルヘルスに関するご相談をSNSで受け付けています。
気持ちが辛い時にはまずは相談から始めましょう。
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